お気に入りの傘がある。
猫顔がたくさんプリントされた、持ち手が猫の手の傘。 やわらかい肉球もちゃんと付いている。
6年程前から愛用していて、持って歩くといろいろな方と 猫傘のことで会話が生まれ、少しだけ距離が縮まる。
しかも、この傘は無くしても必ず戻ってくるのだ。
2年程前、玄関先に干していて無くなったことがあった。 風に飛ばされたのか 探しても見つからなかった。
しかし3日後に近所の方が「お宅のじゃない?」と持ってきた。 傘はご近所の方が、持ち主を探して回してくれていたらしい。
ご近所を回るなんて、猫っぽいなあ。
出先のトイレに置き忘れて、取りに戻ることはしょっちゅうだ。 先日も病院のトイレに置き忘れた。 慌てて戻ると白衣の医師が「猫の傘でしょ?」と、ひとしきり盛り上がり、病院なのに少しほっこりした。
この傘は、会話の苦手な私をやんわりと助けてくれる、ほっこり招き猫傘なのだ。